ここ最近、ピアノをろくに練習できていない。
原因は、つい最近返却された定期テスト。
そのテストの悲惨さに自分でも気づいて、最近は机に向かってシャーペンを握る日々が続いていた。
もちろん、崎田先生はそんなこともお見通し。
「最近ちゃんと練習してないでしょ」
と、瞳の奥に炎をメラメラと燃やしながら痛いところをつかれた。
「智那も受験生だけどねー、でもねー」
「すみませんっ。でも、大丈夫です! そろそろ勉強に飽きてピアノに移り変わる時期ですから!」
私のそんな言葉に苦笑いした崎田先生は、音楽室を見渡して、ある人物のところに目を止めた。
「奏太。智那の特訓、よろしく」