「今まですいませんでしたっ」 勢いよく頭を下げた。 その勢いの風で、髪の毛がなびく。 「本当は……やめたくなかったんです」 床の木目が、ゆらゆら揺れる。 それは、私の目に溜まり始めた涙のせい。 「でも、部活の足を引っ張りたくなくて――それでも合唱は好きで――」 だんだん目が重くなる。 とうとう、重力にしたがって涙がこぼれだした。