今まで私の心にとりついていたトゲが、全部とれていく。


氷で冷やされていた感情が、奏太の言葉によって溶かされていく。




「ダメだよ、奏太」




やっとの思いで言葉にしたその声は、かすれにかすれていた。



その代わりに――――




「そんなこと言ったら、もうウソなんてつけないじゃん」




たまっていた気持ちが、涙となって溢れだした。




「ほんとはずっと待ってた」



『無理しなくていいよ』

『戻っておいでよ』



ほんとはずっと待ってたんだよ――。