「ちーなっ」
昇降口でスリッパに履き替えていたら、背後から明るい声が降り注いできた。
「るな!」
「同じクラスだね」
「あぁ、うん」
るなはそういって、にこにこ笑っている。
「久しぶりだしねー、同クラ。うれしいなぁーっ」
「うん」
るなは教室へと続く階段を上りながら、「クラスのメンバーちょっと微妙じゃない?」とか、「担任があれじゃぁねぇ」とか、「もう最高学年だよ」とか、いろんな事を口に出していた。
それに答えるのは、無意識に私の口からでる相槌の言葉。
るなの声を聞きつつ、るなの言っている言葉を理解しようとしない自分がいた。