廊下に、私の声がかすかにこだました。 その瞬間、少しだけ奏太の表情に影がさす。 また、やっちゃった。 こんなこと言わなきゃよかったのに。 でも、もう遅い。 もう手遅れ。 「だからもう私に構わないでよ」 消え入ってしまいそうな声で、絞り出した言葉。 これで、もういい。 私が何もしなかったら、何もかもが丸くおさまるんだから。