そう思ったとき、部長の眉間のシワがかすかに深くなった。 それから、私の背後に人の気配を感じた。 不安定な気持ちのまま、ゆっくり振り替える。 「お取り込み中すみませんが」 切れ長の目、でもどこか温かみのある瞳。 高い鼻を中央に、整った顔立ち。 そして、大好きな透き通るような声。 「ちょっと、智那借ります」 奏太だ――。