「だって、まだ合唱をあきらめていないじゃない。見ててわかるくらいにね」 私と同じ目線の高さの鋭い瞳が、私の瞳をとらえる。 氷のように冷たい。 闇のように恐ろしい。 「そのおかげで、部活にも気が入ってないでしょう? 音、めちゃくちゃよ。本当にそういうの、困るの」 部長の視線が、私の瞳からクラリネットに移る。 まるで、汚いものを見るような目付きで。