今のは私に気づかなかっただけだよね……? 私は自分自身に言い聞かせる。 もし、崎田先生が私に気づいていたら。 きっと、いつもみたいに笑顔になってあいさつを交わすだろう。 でも―――― もし、崎田先生が私に気づいていたとしたら? そう考えてから少しして、ウソだ、と首を激しく振った。 崎田先生に限って、そんなわけない。 いつの間にか、私は手のひらに冷や汗をかいていた。