「お前だって――怜だって、そんなやつの肩持つのなんてやめろよ」

「だって、俺はまだ智那の辞める理由をきいてないし――」

「だから言ったろ。理由なんて何もないって。
その証拠にさっきから一言も話さないだろ」



そう言うなり、奏太の鋭い視線が私の全身に刺さった。



蛇に睨まれた蛙。


まさにそれだった。



「奏太。ちょっと二人で話そう。こんなところじゃ話せない」



怜が奏太のところまでまっすぐ歩きだす。


それから、まだ冷たい視線で私を睨む奏太の腕をとって、教室から出ていった。