「奏太。智那だって何か理由があるのかもしんねぇじゃん」



怜がわざわざ私の肩を持ってくれる。


嬉しいけど、無駄だよ。

今の奏太には、そんなの通じっこない。



「理由もくそもあるか。そいつは合唱を裏切ったんだよ。合唱を辞めたいくらい嫌いだったんだよ」



案の定、奏太は顔色をかすかにも変えずに言った。



「そいつって……どうしたんだよ、奏太。いつもの奏太じゃねーよ」

「んなこと知るか。合唱に力を注いでるこっちからしたら迷惑以外の何物でもないだろ」



隣に立つ怜が、小さくため息をついた。



奏太の頑固なことに呆れているんだろうか。

私の無責任さに呆れているんだろうか。


どっちにしろ、怜に迷惑をかけてる。