「もう――いいよ」



そう言っても、部長の視線の鋭さは緩まない。



私は大きく深呼吸をする。

自分から言わなきゃ。



「合唱団、やめる」



唇が小さく震える。

それにつられて、手も小さく震える。


震えるなと思っても、体は私の言うことをきいてくれない。




「――んだよ、それ」




後ろの方から声が聞こえた。

いやな予感もした。



聞き間違えるわけがない声。


振り返らないわけにはいかなくなった。




恐る恐る振り向くと、いやな予感は的中した。






「奏太――――」