「合唱なんかって、何?」
そのとき、廊下にかわいた音が響いた。
目の前にいる部長の右頬が、さらに赤くなっていた。
鋭い視線が、私へと注がれる。
冷たく、尖っている、鋭い視線。
「何すんのよっ!」
部長が自分の右頬をおさえる。
この頬をぶったのは、他でもない私だ。
「暴力ふるって――……あなた、いったい何がしたいのよ!」
「私、嫌いなことがあるの」
部長の言葉を無視して、私は切り出した。
私の、本当の気持ち。
「音楽をバカにされること。それが一番大っ嫌い」
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…