私に心当たりがないのが伝わったのか、部長はスリッパをパタパタと鳴らした。

明らかに、機嫌が悪い。



でも、ほんとに心当たりないんだからしょうがないよね。


なんて思ったのもつかの間。


部長は苛立たしそうにため息をついた。



「なら言うけどっ! 城山さん、いつ合唱団やめるのよっ」



いきなり捲し立てられた。


――合唱団?



「なんで合唱の話がでてくるの?」

「なんでって……あなたね……!」



珍しく、部長の顔が真っ赤になっている。

きっと今、部長の怒りボルテージは最高潮だ。



「あなたがどう思ってるのかは知らないけど、私たちにとっては迷惑なのよ!」




一瞬、何を言われているのかわからなかった。



廊下に部長の声が響き渡った。