差し出されたものは
プリンだった。
「えっ、いや、あの。」
「もう一個あるから、気にすんな。
送らなくて平気か??」
「えっ、あ、はい。すぐそこなんで。」
って、なにバカ正直に答えてんの。
「そっか。じゃあ、気をつけろよ?」
翔太は、そう言って歩き出した。
なんで。
なんでこの人は
こんなに優しいんだろう。
こんな私に
なんであんなに笑いかけるんだろう。
私は歩きながら
プリンを付属のスプーンですくった。
プリンは
私の想像以上に
甘くて、口どけが滑らかだった。
だから
気づかなかったの。
なんでこのとき
翔太がここにいたか。
なんで、翔太が
プリンを2つもっていたか――。