普通の人なら、彼らが何の話をしているか気になる所だが、華子はそれどころではなかった。鏡に夢中だったおかげでいらぬものを発見してしまったのだった。

「嘘…!まさか、そんなはずないわ…どうして。」

静かに声を発した華子の表情は、先程とは同一人物には見えないくらい歪んでいた。

「嘘よ…この鏡は嘘つきなんだわ…そうに決まってる。」

今度は何やらブツブツ喋り始めた。
華子の異変にきづいた周りの席の人は、その別人になってしまった華子を見て息を飲んだ。

「どうしたのかな…中前さん。顔がゴブリンみたいになってる。」

「ゴブリン…」



ザワザワ‥



「ん?中前さん、どうしたの?」

様子がおかしい華子に長谷川君が話しかけた。