『灰かぶり…シンデレラは灰にまみれて掃除をさせられていたわ。』

遠くを見つめて自分の世界に入り始めた。


『でも、舞踏会では王子様の気をひくほどの美しくなるのよ。言ってる事わかるわよね?』





「…?」

華子に同意を求められるが、半開きの口で首を少し傾ける長谷川くん。



『つまり、今日の私は仮の姿ってことよ。シンデレラのように、身を潜めている状態。数日後には、舞踏会に現れたシンデレラみたいに私もなるのよ。だから、今日は我慢しているの。あの変なオトコにも、色々教えてあげなければならないけれどしかたないわ…』

遠くを見るように華子は窓の方へ顔を向けた。

と言っても顔は見えないのだが。


「じゃあ、今日はそのためにおとなしくしてるってわけで、別に気分がすぐれないってわけじゃないんだね。」


『そうよ。私はすこぶる元気よ。でも…お肌はそうでもないみたいだけど…』