「「…」」

「中前さん!」

とその時、教室から慌てた様子で長谷川君が出てきた。

「…あ…れ?何か俺、マズいとこに来た?」

確かに長谷川君に取っては、気まずい状況である。なんせ、顔にショールを巻いた女と知り合いが抱き合っているのだから。

「全然マズくないわよ。何か用なの?っとその前に、あなた離してくれない?何を勘違いしてるのかしら、私はそんな女じゃないわ」

ツンと言い張る華子だが、ショールが邪魔して格好がつかない。

「まず、そっちが俺の胸に飛び込んで来たんだろう?俺はただ親切な事をしただけ。俺とハグしあえてよかったじゃないか」

やれやれといった表情で華子を離す相手。