「ん?お前、中前か?どうしたんだ、そんな格好して。教室なんだから、その顔に巻いてるものを取りなさい。朝はそんなの巻いてなかったじゃないか」

訝しげな顔で華子を覗き込む飯塚先生。

「今日の私は完璧ではないので帰らせていただきます!!」

顔を見られまいとし、華子は猛スピードでドアの方へ向かった。

スタスタ…

「お、おい!中前!?」

「鏡…」

風のように歩く華子は聞く耳をもたず、教室を出た。もちろん、小さく呟いた瀬木さんの声も聞かずに。


しかし、ショールを顔に巻いているため前がいまいち見えず、教室を出た瞬間何かにぶつかってしまった。


ドンッ!!!!