喋り続ける清太を無視し、長谷川君は鏡を華子に手渡した。

「はい。鏡」

華子は黙って受け取り、恐る恐る鏡を開いた。



「…やっぱりある…ニキビが…ニキビが出来てるわ!!」


わなわなと震えながら話す華子。


「どうして?どうしてなの?昨日にはなかったはずよ。何で…!こんな顔人前に出せないっ!私、帰りますわ。…っ、こんな鏡!」

そう言って鏡をゴミ箱へ投げ捨てると、華子は鞄から大きめのショールを出し、それを顔に巻きつけて、朝来たように颯爽と帰っていった。




いや、帰っていこうとしたが実際は止められた。