長い長い授業が終わった。

「亜依ー。部活行くの?」

「あたし?行かないよ。あんなとこ」

「…そう…いいの?休んで。」

「もーう、遥妃のためだって!バスケ部の試合をのぞくんだからー」

「うん!行こう!」


「そーいえば満田くんって隼っていうんだよー。」


「へー..何で知ってんの?亜依。」

「ひみつー!!」

「…ってか、どうしてここ!?」 私が叫んだのは理由がある。

1つ 体育館内ではなく外だということ。

2つ ストーカーみたいなこと。

3つ 体育館の下の小さい窓からだということ。

「……じゃん!ここしかないんだし。」

亜依...。ムリがある気がするんですけど。

「遥妃のケチー!!!」

「分かった分かった、ごめんごめん。」(もう...)


そう言いながら私はのぞいてみた。

ダンダンッとボールをドリブルする音が響く。

私も、このなかに入りたいな...。 そう思ってたら、背の高い男の人が

シュートをきめた…。

「遥妃!遥妃!!今、きめた人だよ!」

亜依の声もその時は届いてないみたい。 

私の中の世界がぱっと広がった。(かっこいい。) 本当に満田くんは

私から見たらキラキラしていた。

「もうーっ!」

「ごめん。亜依。」

「あたしが、あれが満田くんって言ってるのに無視するんだもん!」

「ハハハ」

「笑うな!遥妃!」

「んじゃ満足したし、帰るか!」

「うん!今日は楽しかったね!!」 と、その時 学校を出ようとしたとき...。


背の高い、バスケットボールを持った男の子...。(…満田くん…)

「おっ!遥妃ー。」

亜依が小声でちゃかしてきたときに、満田くんと目があってしまった。

やっぱカッコいいなぁ。 ずっとガン見してしまったけれど

別にいいよね。 そう思ってたら もう満田くんは別の方を向いていたけれど、

もう あの時から花が咲いたんだね。



知らない 知らない  遥妃は、まだ知らない。

この花が恋だということを。
 
隼がどこかへ向いたのは 恥ずかしかったから。

その赤いほっぺは、夕日でかき消されたんだよ。


知らない 知らない  隼は、まだ知らない。

これが恋だということを。
 
自分のこの気持ちは、恋なんだよ。

ただ、全然 すなおになれないだけ。


  この2人が結ばれるのを、まだ誰も知らない。