なんとか、重たい足を引きずって

学校まで行くことができた。

亜依に謝っておかなきゃいけない。

これからは、ずっと友達だよね。そんな不安の中 教室へ入った。


ガラガラッ

「……え?」

「あっ!遥妃ー!おっはよー」

「亜依? 今、朝練の時間じゃ…。」

「今日? ないないない!」

「本当?亜依良かったね」

「うん!遥妃に話しておきたいことがあるんだけどさ」

なんでか怖かった。

「ん?何?」

「昨日のメール見た?」

「見た見た!嬉しかったー」

「それなら良かった」

「えへへへっ」

「もう、告白してみたらいいのにー」

「えッ!? それはこわいなぁ」


そんな他愛のない話をしていた。

不安が全部なくなるように…。

でも次の亜依の言葉で不安が蘇った。


「遥妃のお兄ちゃんに逢ったよ。こないだ。」

……?!

「あたしは気づいてなかったんだけど何かお兄ちゃんのほうから

こんにちわ って言われて、そっから色々聞いたさ。」

「な…何を?」

「……ごめんね」

何が…?

「亜依!怒んないから言って!」

「はる…ひ…あたしのせいでさ。……リスト…カットしたんでしょ?」

亜依は涙目だった。

「いや…。」

「遥妃のお兄ちゃんが、この事は本当だって…」


「亜依のせいじゃないんだよ。」

「え?」

「お兄ちゃんの思い込み。でもリスカしたのは事実…。」


私はシャツをまくり、手首の傷を見せた。

ほとんど消えてるけど少しだけ見える。

「遥妃・・・変な事言ってごめん」

「うん...。」

「もう大丈夫なの?」

大丈夫なわけない。私は許したんだ。目の前に居る亜依を。

1度許した相手をキライになる理由はないんだ。

「…ごめんね。遥妃」

「全然平気だよ!」

「うん…。」


亜依の返事と同時に朝のHRのチャイムがなった。

「んじゃ…。あとでまた」



私には大きな不安があるんだ。

…リストカットした事…

そのことを満田くんに知られてしまうのが。

どうしよう。

嫌われたくないんだよ…。

心臓がズキンズキン傷んだ。


ごめんなさい。

私が幸せになるまで遠いのです。

時間がかかるのです。

あと一歩が踏み出せないのです。