集団の中へと入り、中心人物となっている女子の目の前に立った。

少し後ずさりながらも強がりの表情を作っているところを見て、その仕草が可愛らしく見えてしまったことと、これからの私を想像してはにかんでしまった。


「家出した女が同じクラスで悪かったな。

でも、そんなことで内申点が下がることなんてねえよ。

あと、心配しなくても私はお前たちと一緒の市内の高校には行かずに、市外に出ていくつもりだよ」


それだけ言うと、私はそのまま集団の中を抜き去り、廊下へと出ようとした。

廊下に一歩踏み出したところで、大事なことを言わなければいけないことに気付き、振り返るとクラスのみんなが私に視線を向けていた。


「あっ、それと・・・

ありがとな。

お前が私に対して素直に思ったままの行動を取ってくれたおかげで、私もみんなに対して初めて素直に自分を出せたよ」


クラスメイトの反応を見ずに、そのまま教室から離れていった。