立ち上がろうとする由利を制止して、勢いよく立ち上がり、大きく息を吸った。


(そうだ。

ここで、何も言わずに黙ったまま普通にやり過ごしたり、由利に頼っていては今までと何も変わらない)


ゆっくりと集団へと歩を進めていくと、女子たちは私から少し身を引いていくのが分かった。



今日の天気、男子が書いた黒板の落書き、傷だらけの教卓、教室の汚い壁・・・



今、私の視界に入っているもの全てのものを覚えておこう。



若干怯えている女子の集団、野次馬のように興味津津の男子、私のことをいつも心配してくれている由利・・・



それらをよく目に焼きつけながら、ゆっくりと集団へと歩いていった。