「家出した生徒と同じクラス、それだけで内申点下げられたら最悪だよね」


呟きにしては大きく、叫んだというにしては小さすぎる、明らかに聞こえるような声で発した言葉だった。

もちろん、その標的は私だろう。

言葉の発信元を辿っていくと、クラスの中心にいなければ気が済まない女子とその集団がにやにやしながら私を見ている。


「そんな人と同じ高校なんか行きたくなぁい」


わざとらしく言い放ち、言葉とは違い大声で笑い出した。

一人の女子が集団を密にさせ、何やら全員に囁いている様子を見ると、恐らくはこれだけでは済まないだろう。


「由香は何も言わないほうがいいよ」


胸の奥がきりっと痛み出した。


行けよ


その直後、後ろからあいつにそう言われて背中を押された気がした。