学校が始まり、私の足取りは正直に言うと重かった。

いくら吹っ切れようとも、私のやったことは恐らくクラスのみんなに知れ渡っているだろうし、教師は厳しさというよりは痛々しいほどの視線を私に向けてくるのではないか。

そう考えるだけで、足取りは重くなるのは必然とも言えることなのかもしれない。


「由香」


生徒玄関をくぐり抜け、靴を履き替えようとしたところでいつもの笑顔で由利が私を迎え入れてくれた。

その笑顔だけで足取りはかなり軽くなった。


「由利、心配かけたね」


由利は私がやったことを知っている。

あの日、私は入瀬の携帯電話から由利に電話を掛け、一方的に自分がやることだけを伝えて由利の返答も聞かずに切ってしまった。

今日、学校に来たら真っ先にやらなければいけないこと、それは由利に謝ることだった。