何か音が欲しい。



私の言葉に対しての返答に悩んでいるのか、入瀬は黙ってしまった。

静かすぎる二人の時間は、私が泣いてしまいそうな感情が表に出ようとしていることが容易に分かってしまいそうだ。


「意味なんて、分からねえよ」


胸が張り裂けそうなくらいに痛み出したとき、その言葉は私の耳を通過した。



私は期待していたのだ。

私が知らないことを入瀬が見つけてくれるのではないか、それを私に誇示してくれるのではないかと。


「そうだよな・・・

ごめん」


やっぱり、あの旅に意味などなかったのだろう。

私の視界は一瞬にして曇り、曇った滴が頬を伝い落ちた。