あのときの惨めにも似た感情が甦り、携帯電話を握る手に力が入る。


「変わったかどうかなんて、分からねえよ」


泣きそうだった・・・



あのときの私も泣きそうで、あの旅の意味を考えようとしたけど、出てこなかった・・・


「なあ、入瀬。

変わったかどうか分からないまま帰ってきて、この旅に意味なんてあったのかな?」


変わったかどうか分からないと思っていても、本当は何も変わってなどいやしないということは分かっている。

だとしたら、せめて・・・

せめて、あのときの意味がほしい。

意味のないことをやったと思いたくない。