「つうか、あのときの別れ際から締まらなかったもんな」


その話はあまり思い出したくもない、正直恥ずかしい話だ。

入瀬と約束を交わし、威勢よく飛び出してトラックの運転席に向かったコンビニ・・・

そのままトラックに乗せてもらい、入瀬と別れたのならば格好もついて、感動的なものに少しはなったのかもしれない。

だけど、世の中はそんなに甘くなかった。


「トラックから戻ってくるときのお前の表情と声、本当に最高だったよ。

『うおお、入瀬ぇ』って、半泣きで全力疾走してくるんだもんな」


運転席を覗き込むと、そのトラックの運転手は仮眠をしているところだった。

今思うと、その時点で引き返すべきだったのだが、そんなことなどお構いなしにノックをしてしまったのだ。

案の定、仮眠を邪魔された運転手は機嫌が最悪に悪かった。


「何すんじゃ、われぇ!」


ドアを開けた瞬間に思い切り叫ばれ、即座にドアを思い切り閉められた・・・