涼しいというよりは寒かった。

運転席にあったモニターはマイナス二十度あたりを示していたから大体は想像していたが、実際に入ってみると防寒具も何も着ずに立っているだけだとやはり寒かった。


「アイスとか運んでいるから寒いのは当たり前だよ。

全店舗終わってしまったから商品はもうないけど、ここで俺は作業をしていたんだ」


急に「入れよ」とトラックの後ろに入れてくれたのは、最後の店舗が終わったというときだった。

いきなり言われて困惑したが、目の前に差し出された手を思わず掴んでしまった。

暖かいが、少しだけ骨の感触が当たる固い手だった。



中を見渡し、入瀬が作業をしているところを想像する。

きっと、こいつは一生懸命に作業して、真剣に仕事をしているのだろうと頭の中で動かしてみた。

視線を横に移すと、遠くを見ているような目でどこか寂しい表情をしていて、私の胸の中に深く刻まれた。