トラックは高速道路へと入り、北陸自動車道を更に北へと向かった。

高速道路にはトンネルがいくつかあり、一つのトンネルから出るたびに私は「出口さん」と彼をからかっていた。


「お前な、俺は一応だけど年上だぞ」


それでも満更でもなく、笑ってまた私に話しかけてくれた。



ふと、窓の外を見ると、山々から海がちらりとだけ姿を覗かせた。

普段とは違った角度で見る海は新鮮で、遠くからは荒れている日本海は穏やかに見えた。


「海、見てみるか」


私が海を見ているのを見て、彼は気を遣ってくれたのだろう。

でも・・・


「いい。

ぐっとくるものって、見た瞬間に言葉を失うような、そんなものだと思うから」


「そうか」


それでもトラックは若干スピードを落とし、私に少しでも長く海を見せるように走ってるように思えた。