口元に力を入れて、勇気を振り絞る。


「あの・・・」


自分自身、触れたくない部分。

だけど、ここを触れずに旅を続けていても私は何も変われないような気がして、それではこの旅をする意味がない。


「私、家を飛び出したんです」


「・・・」


「私には五つ上の姉がいて、凄く頭が良くて女の子らしくて、家族や周りの人から可愛がってもらっていて・・・」


「・・・」


「小学生のときから私はそんな姉と比べられてばかりいました。

私が姉と同じことをすれば『お姉ちゃんはもっと』と言われ、姉と違うことをすれば『お姉ちゃんなら』と言われてきました。

そんな、そんな毎日が耐えられなくなったんです。

だから、何かを変えたくて・・・」