駐車場とはいえない、だけど車が何台か停まれる海の見える場所にトラックは止まった。

恐らく、ここで休憩するのだろう。


「はい」


袋の中からパン二つとペットボトルの水を取りだし、それを私に差し出してきた。

その行動に私は驚き、しばらく身動きを取らずに男の人をただ見つめていた。


「何、驚いているんだよ。

どうせ、財布持ってないんだろ」


そう言うと、半ば強引に膝の上にパンを置いてきた。


「どうして、分かったんですか」


「勘だよ。

財布を持っているなら、俺が昼飯を買いに行くときに一緒に来るかなって。

パンとかそれで平気?

飲み物も好き嫌いがあるから、一番水が無難かなと思って水にしたけど、嫌だったらごめん」


少し視線を逸らし、後ろの首筋を掻きながら言う姿はさっきまでとは違い子供っぽく見えて何だかおかしくなった。