門を出るとき。

「俺に何も言わないで行くつもり?」

えっ?

誰かの声がして振り返った。

そこにいたのは修太くんだった。

「修太くん!」

「勝手に行くのかよ。」

修太くんはそう言った。

「違うよ。修太くんに言ってから行こうとしたけど、修太くんいなかったから。」

「そっか。今から社長んとこ?」

「うん。何言われるかわかんないけど、どんな結果であろうと受け止める。
それが今の自分の実力なんだって。
やれるだけのことはやったし。」

「だな。連絡待ってる。」

「うん。事務所出たら連絡する。」

「おう。行って来い!」

修太くんに背中を押され、あたしは事務所へ向かった。