俺は…信じることができた、たった1人の愛しい人を失った気がした。

“気”じゃなくて、いなくなった。


もう、俺は誰も信じることが出来ないんじゃないか。

きっとできない…。

できない…


親父…。



「…世名?」

『…』

「ねぇ…。」

『おめぇ…な…なん…で……俺を…』

「え?」

『…騙してたんだな…』

「……」

『やっぱりそうだったのか…』

「で…でも!違うの!私は…」

『もういい!!!!言い訳なんか聞きたくねぇんだ』

「…」




『最悪だな。お前。信じてたのに…』

『じゃぁな』


そう言って勢いよくドアを閉めた。

こんな別れ方…あるかよ。。


幸せになれると思ってたのに。

家族がいなくても、自分で造れると思ってたのに。


もう俺にはそんなこと無理だ。



もういいんだ。。







―心の中に何かが芽生えた。

芽生え始めた。


…この頃から…