ずっと服を握りしめていた手に、更に強い力が入る。
もし今力を抜いてしまったら、身体が震えてしまうような気がする。
震える身体を見るのが怖くて、必死に力をいれていく。
私がここに来てから、何度時計の針が回ったのだろう。
窓から見えていた景色もいつのまにか真っ暗で、もう何も形が解らない。
さっきまではお父さんも瞬輝もいたから感じなかったけど、今私はこんなにも不安な気持ちだったんだ…。
そういえば、出産の場にいるのも夜の病院も初めての体験だ。
出産に対する知識も少なくて、何も解らない。
お母さん、大丈夫なのかな。
出産って凄く痛いっていうのに、こんなに長時間頑張って…。
早く。
早く赤ちゃん。
もうそろそろいいでしょ?
お母さんを楽にしてあげてよ。
じゃないとお母さんが……「おーいっ」
「!!!!!」