「えっ、…はい。」
「心配しなくても大丈夫ですよ。だから、早く行ってあげて下さい。」
優しい声に、優しい笑顔。
そのすべてが俺の中にある不安を小さくしていく。
「行って下さい、冨田先生。」
「俺達でフォローしますからっ。安心して行ってください!!」
教頭先生を先頭に、集まった先生達が次々と俺の方を見た。
「いってらっしゃい、冨田先生。」
「………いってきます。」
まとめた荷物を持ち、足早に職員室を出る。
皆の事をしっかりと目に焼き付けたかったが、する事が出来なかった。
唇を噛み締めて、ただ鞄を握りしめ続けた。
温かすぎて、優しすぎて、不安を抑えているものが全て壊れてしまいそうで。
もし皆の事を見たら泣いてしまったかもしれない。
いつも一人でやっているような感覚でいたけど、それは違った。
あんなにも沢山の人に支えられて、助けてもらってたんだな…。
「麻椿……」
お前のその我慢は危険で直すべき所だが、でも、そのおかげで今日は大切な事に気づけたよ。
ありがとう、麻椿。
今直ぐ行くから、もう少しだけ頑張れよ……。