「あんまり無理するなよ。早く帰れるようにするから。」
「うん、解ってる。」
二人だけのこの朝の時間は、お父さんが閉めるドアのバタンっという音で終わる。
そのドアが閉まる音は私に進めという合図をくれ、又はお母さんを寂しい顔にさせる音でもある。
階段をゆっくり降りていくと、お母さんが私を見上げた。
「おはよう、永愛。朝ご飯食べる?」
「うん、お願い。」
「あ、じゃぁ瞬輝起こしてきてくれる?」
「はーい。」
お母さんに言われ、再び階段を上へと登っていく。
そしてお母さんはキッチンへと歩いて行った。
もともとは寝起きの悪かった私だけど、半年くらい前から別人のように早起きをしている。
朝の6時30分に起きるのは当たり前で、お母さんの代わりに毎朝のように瞬輝を起こしている。