「ちが、違うの…嫌じゃなくて…。その…。」
真っ赤になりながら必死に話す姿を見ると、麻椿が本当に幼く見えてくる。
「なんか、昔の話しをしたからなのか、すごい緊張しちゃって…。」
あぁ、麻椿も同じこと思ってたのか。
お互い見た目は大人だけど、気持ちだけはあの頃に戻ってるみたいだな。
「麻椿。」
「…なに?」
「俺もさっきの麻椿みたいに伝えなきゃいけないことが沢山あるんだ。」
「え?」
麻椿に伝えたいこと、それはもう数えきれないくらい沢山ある。
例えば、出会ってくれてありがとうとか、好きになってくれてありがとうとか。
でも、今一番伝えたいありがとうは…。
「…子供達の、あの子達の父親にしてくれて、本当にありがとう。」
やっぱり、これなんだよな。