照れながら、怒りながら、それでも麻椿は俺の手をとってくれる。
二人でゆっくりと家に入り、寝室へと向かう。
子供達が寝静まった家は本当に静かで、たまに俺達2人しかいないんじゃないかという錯覚におちいることがある。
朝や昼間はあんなに賑やかなのにな…。
外で使っていたグラスをキッチンに置き、寝室へと向かう。
さっきまで俺のことをからかっていた麻椿は、寝室へと近づくにつれて口数が減っていった。
別に初めてという訳ではないのに、こんなにも緊張してるんだな…。
なんか初々しいというか、何というか…こっちまで緊張してきた。
寝室の扉を開け中に入り、二人でベッドへと腰かける。
そして、ゆっくりと麻椿の顔を見ると、今にも泣き出しそうな顔をしていた。
「…麻椿、ごめん。泣くほど嫌ならしないから…ほら、顔あげろ。」
泣き出しそうな麻椿の顔に触れながらそう言うと、俺の言葉に応えるように麻椿は顔を横へと振った。