「愛してるよ、雄揮さん。」
顔が、身体が、一気に火照っていくのが解る。
心臓が速く動いて、軽い動機がして、目が少しだけ涙を帯びている。
まずい、これは非常にまずい。
ここ最近こんな風に麻椿と接していなかったから、反応に困っている自分がいる。
『雄揮さん』なんて呼び方、いつぶりに聞いたんだ?
子供達の前では『お父さん』で、2人の時は『先生』が当たり前なのに、なのに今、このタイミングでそれはずるいだろ…。
しかも、『愛してる』のセットとは…。
「あれ、先生照れてる?」
こいつ、解ってて言ってるな。
顔がどう見てもニヤニヤしている。
「ふふ、いつも冷静な先生が照れてくれたっていうことは、私はまだ女として見られてるってことだね。」
いたずらっぽく笑う麻椿の表情は、どことなく幼く見える。
年齢的には十分大人なんだけど、年の差は埋まらないからなのか、俺からしたらまだまだ幼く見える時がある。
まぁ、実際のところ昔からめちゃくちゃしっかりしているから、見えるだけなんだがな。