女を睨みつけ、亜由美を自分の後ろに隠す。


「ノックぐらいしなさい。やっぱり野蛮人ね。」


呆れたようにため息をつき、俺をじっと見る。


「そんな格好で亜由美に近づくな。」


「…『黒兎』ね…。そんなものになった時もあったわね。暴れても何もならなかったのに…。」


女は、目を伏せ過去を消すかのように首を振った。


「止めて、泉堂君。」


俺の服を引っ張る亜由美を見ると、顔を歪め、頭を振っている。


「亜由美さん、この男に困ったら、すぐに言ってね。私が何とかするからね。」


「何だとっ!」


「泉堂君! 会長、私達帰りますね。お誘いありがとうございました。」


俺を引っ張って部屋を出ようとする亜由美。