「ごめんなさい。桜川会長のお気持ちには答えられません。」


ぐっと回された腕に力が入る。


「それは…私が女だから?」


後ろから仄かに花の香りがして、会長の沈んだ声と合わさり、何故か胸が苦しくなった。


「…私、あなたの為に男になるわ。」


「へっ?」


男になる?

ぐいっと向きを変えられ、会長と向き合う。


「私ね、心は女で体は男なの…。だけど…女が好きなの。」


会長の顔が苦痛に歪むでいる。

瞳の奥に暗い哀しみが見える。

「可笑しいわよね?」


いつもの微笑みを浮かべる会長。