急に拍手が沸き上がり、皆の視線が集まる所を見れば、ピアノがある。


演奏が始まった。
弾いているのは副会長の双子が連だんしていた。


そんな中、こちらに会長が近づいてくる


警戒する泉堂君に肩を引き寄せられる。


「亜由美さん、あなたに見せたいものがあるんですけど…来てもらえる?」


「えっ?」


「亜由美さんを少し貸して貰えるかしら?」

「断る。」


にっこり微笑む会長に無表情の泉堂君は即答する。


「泉堂君!…」


見せたいものって何だろ…?
会長の事は苦手だけど…断りづらいし…。

泉堂君をちらっと見ると凄く険しい顔で会長を見ている。


「あの…彼も一緒は駄目なんですか?」


会長は困ったように首を傾げる。

「男性にお見せするのはちょっと…。」


「わかりました。泉堂君、少し待ってて?」


「駄目、無理。」


「泉堂君……。」


じっと見つめていると…心配そうな眼差しでため息をつかれる。


「…近くにいる。」


会長は頷くと背を向け歩き出した。