去年の夏、学校の帰りに公園で初めて彼女を見た。


小さな男の子と手を繋いで公園に入ってきた彼女。


ブランコの方にかけていく男の子。


「和也、少しだけだからね。」


俺と同じ名前。


腰まである長い黒髪が風に揺れ、透き通るような小柄な顔は夕陽でほんのり赤く染まっていた。


決して目立つ美人ではない。でも男の子に向ける笑顔に見とれてしまった。


男の子を『和也』と呼ぶ声に心が震えた。