静まりかえったリビング。

「あいつ馬鹿だね…。」


拓也は何事もなかったようにテーブルのお菓子を口に放り込んだ。


「あの子、亜由美大好きだからね~。」


お母さんは視線を上に向け苦笑い。

「私、行ってくる。」

「あ、俺に行かせて?」

立ち上がる亜由美の腕を掴んで頼む。

むかつくちびっこだけど…仲良くなりたいしな。
亜由美の兄弟だからな。


「泉堂君…。」

「そうね、和哉君!『ここ』を突破しないとね!頑張って!」


まぁ、無理でもいいんだけどな…。
だって、離れる気ないし?


心配する亜由美の頭を優しく撫で、2階へと上がった。