「さあ、ここでおとなしくしていろ。私の目的は毘沙門天だ。お前は後で相手してやる」
「──待て!」
走り出そうとする阿修羅王の足を掴み、止める。
「まだ行かせねえっ!」
疲労のためにガクガクと震える腕で、必死にしがみ付いた。
「……悪いな、持国天。お前の相手をしている暇はないのだ」
阿修羅王はヒュッと剣を振った。
斬られるわけにはいかない。しかし、簡単に手は放せない。
一瞬の迷いのうちに、剣は耳元にピタリと張り付いた。
斬られると思って体を硬直させたが、そこで剣は止まった。
不思議に思う間もなく、阿修羅王は蒼馬から素早く離れる。直後に響く高い金属音。スッと後ろに退いた阿修羅王の視線の先にいたのは聖だった。
「お前の相手は、俺だろう?」
静かにそう言うその佇まいは、今までの彼とは少し違って見えた。
「セイ、まだ休んでろって……」
蒼馬は自分の体の疲労から、聖もまだまだ回復していないはずだと思った。
しかし蒼馬の言葉を遮り、聖は阿修羅王に向かっていった。──凄まじいスピードで。
向かってきた聖を見て、阿修羅王は全身鳥肌が立った。
ギイイン、と合わさる剣から伝わってくる力に、思わず笑みが零れる。
「やっと来たな」
手が、足が、体中が震えた。
──喜びのために。
「そうだ、その力だ! 毘沙門天!」
「──待て!」
走り出そうとする阿修羅王の足を掴み、止める。
「まだ行かせねえっ!」
疲労のためにガクガクと震える腕で、必死にしがみ付いた。
「……悪いな、持国天。お前の相手をしている暇はないのだ」
阿修羅王はヒュッと剣を振った。
斬られるわけにはいかない。しかし、簡単に手は放せない。
一瞬の迷いのうちに、剣は耳元にピタリと張り付いた。
斬られると思って体を硬直させたが、そこで剣は止まった。
不思議に思う間もなく、阿修羅王は蒼馬から素早く離れる。直後に響く高い金属音。スッと後ろに退いた阿修羅王の視線の先にいたのは聖だった。
「お前の相手は、俺だろう?」
静かにそう言うその佇まいは、今までの彼とは少し違って見えた。
「セイ、まだ休んでろって……」
蒼馬は自分の体の疲労から、聖もまだまだ回復していないはずだと思った。
しかし蒼馬の言葉を遮り、聖は阿修羅王に向かっていった。──凄まじいスピードで。
向かってきた聖を見て、阿修羅王は全身鳥肌が立った。
ギイイン、と合わさる剣から伝わってくる力に、思わず笑みが零れる。
「やっと来たな」
手が、足が、体中が震えた。
──喜びのために。
「そうだ、その力だ! 毘沙門天!」