―小早川の危機―
どんよりした曇り空の下で、ため息をつく私と亜沙子。
山田は、私達から距離を置いているようだ。
目を合わせてくれない。
もちろん、ユッキーともあれ以来話せていない。
ユッキーは、休み時間ひとりでいることがほとんどだった。
それがちょっと心配でもあるんだけど、そんな心配している場合でもないか。
「小早川先生、至急職員室までお戻り下さい」
昼休みの校内に響く放送。
顔を見合わせる。
「どうしたんだろう」
「ねぇ」
私と亜沙子は、小早川が廊下を走っていく姿を見つけた。
「あ、走ってるね」
「かっこいい~!」
「亜沙子~!ラブラブだね」
のんきに、そんな会話をしていた。
小早川がどうして呼び出されたのか。
それを知ったのは、翌日だった。