「陽菜の彼氏は、王子なんだよ。みんな王子って呼んでるの」




亜沙子がそう言うと、ユッキーは嬉しそうに、“王子王子”と言い出した。



「王子に会いたいな~!王子様みたいにかっこいいんだろうね~」



ユッキーが王子と呼ぶたびに、イライラしている自分がいた。




「王子はイケメンなんだよ~」


なんて言う亜沙子に、つい怒鳴ってしまった。





「もう王子の話はいいからっ!!」




私、どうしちゃったの?


私じゃないみたい・・・・・・




こんなことは初めてだった。




自分でも驚いた。






一瞬その場の空気が凍りついた。










そして、亜沙子が悲しそうに言った。






「ごめん。陽菜……」






とても悲しそうな顔をしていた。