「この寺は…………」 小早川は、古典の教師。 「ここで育ったのが・・・・・・」 そうか。 こうなるんだな。 「はいはい。もうわかりました」 と生意気に話をさえぎる。 だって、古典の授業になってるんだもん。 ここで生まれた詩人があの寺であの小説を書いた、とか。 歴史の話を織り交ぜながら得意げに話す。 それを嬉しそうに聞いている亜沙子を見ていると、恋の力ってすごいなと思える。