「でね、言ってくれたのよ。“やっと気づいたよ”ってね。お父さんは、お母さんのことをぎゅっと抱きしめてくれたの」
そこまで詳しく話されると、テレるんですけど。
「お父さん、なかなかやるね」
「でしょ?でね、そこからはお父さんったら積極的でね~」
と延々と続いていくのだ。
「続きは、また今度ね!!行って来ます!!」
私はいちごの匂いを漂わせながら、家を出る。
なんだか、とっても幸せな朝だ。
お父さんもお母さんも若い頃があった。
私のように、ドキドキして、デートの朝を迎えていたんだよね。
亜沙子のことを考える。
やっぱり、隠れて付き合うのはしんどいよね。
大好きな両親にちゃんと理解してほしいと思うよね。
なんとか、うまくいきますようにと願う。